Mrs.-windlessの日記

ありのままに

240 母の無念

先日、母の通院だった

ふと見ると

正面玄関ドアに張り紙が‥‥

    閉院

受付の人に尋ねると

  申し訳ありません

 

母は全く気付かず

診察券を探している

 

 

椅子に座ってから

ゆっくりと

その件を知らせると

飛び上がって驚いていた

 

 

先月

妙にU医師の元気が無くて

「先生具合でも悪いのですか?」

と聞いていた

 

 

U医師はワントーン高い声で

「大丈夫ですよ~」と

 

 

ナースだった奥さんを亡くして

2年め

手入れの行き届いていない

髪やら髭やら洋服やら‥‥

ちゃんとご飯を食べているのか

一患者が心配していた

 

 

通い始めて12年

検査と薬だけ

痛い事は無い

悪い病気でもないから

遊びに行っていたようなもの

 

 

U医師はどこか他人事のように

閉院の理由を話していた

目はしっかり合わさず

宙を見ていた

心身が困った事になったようだ

 

「あんたも体

 気ぃつけなぁいかんよ」

よく私にそう言ってくれた

 

「良か娘さんに育てなさって」

よく母にそう言ってくれた

 

 

せめて記念写真をと思ったが

そんな空気感では無かった

 

 

まだ70代

他の楽しみを見つけて

長生きして下さいね

 

 

母が渡したお土産

捨てちゃうなら貰おうと言うと

母は首を横に振っていた