先日、母の通院だった
ふと見ると
正面玄関ドアに張り紙が‥‥
閉院
受付の人に尋ねると
申し訳ありません
母は全く気付かず
診察券を探している
椅子に座ってから
ゆっくりと
その件を知らせると
飛び上がって驚いていた
先月
妙にU医師の元気が無くて
「先生具合でも悪いのですか?」
と聞いていた
U医師はワントーン高い声で
「大丈夫ですよ~」と
ナースだった奥さんを亡くして
2年め
手入れの行き届いていない
髪やら髭やら洋服やら‥‥
ちゃんとご飯を食べているのか
一患者が心配していた
通い始めて12年
検査と薬だけ
痛い事は無い
悪い病気でもないから
遊びに行っていたようなもの
U医師はどこか他人事のように
閉院の理由を話していた
目はしっかり合わさず
宙を見ていた
心身が困った事になったようだ
「あんたも体
気ぃつけなぁいかんよ」
よく私にそう言ってくれた
「良か娘さんに育てなさって」
よく母にそう言ってくれた
せめて記念写真をと思ったが
そんな空気感では無かった
まだ70代
他の楽しみを見つけて
長生きして下さいね
母が渡したお土産
捨てちゃうなら貰おうと言うと
母は首を横に振っていた